不動産専門税理士の得するよもやま話 No.3 ~税理士・行政書士・宅地建物取引士~

  No.2の続きです。

前回のケースで、とりやまグループが買い取った1,400万円の物件を、買えない理由を取り除くため30万円かけて 修理をし、満室にして家賃保証を付けて1,700万円で販売した場合はどのようになるでしょうか。

 

1.取得の費用 

  17,000,000円  仲介手数料615,600円  収入印紙10,000円  登記費用150,000

  火災保険料 10,000円  不動産取得税 約100,000

    合計 17,885,600円  総投資利回り 7.3%

2.収入(家賃保証差引後)

 32,000円×4戸×85%=108,800円/月 

 108,800円/月×12ヶ月=1,305,600

3.固定資産税 約35,000

4.火災保険料 約10,000

5.共用電気代 約24,000

6.税理士報酬 55,000円(確定申告料金)

   差引 1,181,600円(税引前手取額)

7.減価償却費 建物の比率を全体の金額の70%で契約すると(←不動産専門税理士のスーパーテクニックです)

17,000,000円×70%=11,900,000

11,900,000円+建物分の仲介手数料430,920円+固定資産税日割分建物分2,500円=12,333,420

12,333,420円÷4年=3,083,355円/年

8.損益 △1,901,755

9.所得税等の税金

給与所得

 

  17,550,000

 

不動産所得

1,901,755円 (借入なしと考える)

合計所得

 

15,648,245円)

 

所得控除

 

2,000,000

 

課税所得

 

13,648,0000円)

給与所得のみの税金

所得税

 

 

2,967,800

3,595,500

復興所得税

62,300

    75,500

住民税

 

 

1,374,800

1,565,000

合計

 

 

4,404,900円 (28.0%)

5,236,000

※不動産を賃貸したことにより減少した税金 △ 831,100

10.税引後損益  △ 1,070,655

11.手残り収入  △ 1,070,655円+減価償却費 3,083,355円=2,012,700円 (11.3%)

 

 損益上は損をしているように見えますが、売主・買主の合意のもとに建物比率を高く売買することにより、

外にお金を出さない減価償却費を大幅に多く計上することができ、結果的に大きな節税になり、手取り利回り

11.3%という高利回りで獲得することができます。

 

 年度別に分析すると(初年度は1月に取得したと仮定)税引き後手取り収入(減価償却費加算後)

  1年度  2,012,700

  2年度  2,012,700

  3年度  2,012,700

  4年度  2,012,700

 5年度  減価償却費が0となってしまうため、税金発生

       税引前手取額   1,181,600円(不動産所得)

       給与所得     17,550,000

       合計所得    ( 18,731,600 )

       所得控除    △2,000,000

       課税所得    ( 16,731,000 )

  所得税        3,985,200

  復興所得税      83,600

  住民税        1,683,100

  合計          5,751,900円(30.7%)

      ※不動産所得の増加税額  515,900円 (43.7%)

      ※税引後手取り収入  1,181,600円-515,900円=665,700

       5年間の税引後手取収入の合計 8,716,500

       総投資額に対する回収割合 8,716,500円÷17,885,600円=48.73%

    

     5年間で半分くらいの資金回収ができます!!

 

  6年目からの戦略 <売却する>

    譲渡所得 仮に1,400万円で売却したとすると

    (1) 譲渡収入 14,000,000

    (2) 取得費 土地分 17,625,600円-12,333,420円=5,292,180

    (3) 譲渡費用   仲介手数料 518,400円  印紙 10,000

    (4) 分離長期譲渡所得 (1)(2)(3)8,179,000

    (5) 譲渡所得の税金 8,179,000円×20%=1,635,800

       ※不動産の売却(譲渡)は分離課税といって、給与、不動産所得のような総合課税と別に税金を計算します。

          短期 売却した年の11日で所有期間が5年以内のもの  税率 39

          長期 売却した年の11日で所有期間が5年を超えるもの 税率 20%

 

 

所得税

住民税

税率

短期

30%

9%

 

長期

15

5%

          短期と長期で2倍近く税金が違うので4年間の減価償却費の多い分を享受して6年目に売却する

            という戦略が生まれます。

      

       売却も考慮しての損得

        5年間の税引後手取収入の合計 8,716,500円-1,635,800円=7,080,700

 

       7,080,700円 ÷ 総投資額 17,885,600円 = 39.5% の手取り儲け です!!


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