不動産専門税理士の得するよもやま話 No.15 ~税理士・行政書士・宅地建物取引士~

 <キャッシュフロー大改善に成功>

 

 先週の木曜日と金曜日は私にとって“関ヶ原の合戦”でした。

 私の従来のキャッシュフローは、次の2つの要因により大変苦しいものがありました。資金繰りを任せている女性職員泣かせの毎月でした。

 

 1.税金が高いこと

 個人の税率が最高税率に達していました。

 給与所得 + 不動産所得 = 8,000万円(課税所得) とすると、

 

所得税    8,000万円 × 45% - 480万円  =  3,120万円

 

復興税               3,120万円 × 2.1%  =       66万円

 

地方税(都区民税)     8,000万円 × 10%  =     800万円

 

事業税 不動産所得分  5,000万円  ×   5% =  250万円

 

            合計           4,236万円

 

 なんと53%もの税金を払っていたのです。しかも、ほとんどの税金は経費にできない税金です。

  税理士の私がどうして?って思われるでしょうね。当然私も最大限の節税の限りを尽くしています。

 50億円の賃貸不動産の原価のうち、30億円が個人の所有になっており、家賃収入が3億円で減価償却費、固定資産税、支払利息等の経費を差し引き、家賃収入の20%の管理費を自分の会社に支払っていても不動産所得が5,000万円にはなるのです。

 

 では、どうして不動産を個人で買ったの?と思いますよね。会社の方が税率が安いのにって。

 その通りです。しかし、それができなかったのは、銀行の融資が個人の方が出やすかったためです。

 当時の銀行は実績が少なく、売上が少ない会社には融資するのが難しいと考えていました。

  

2.毎月の返済金額が多いこと

 私が20歳で上京した時は、0からのスタートでしたから当然土地は持っていませんでした。中古ばかりを買い進めてきたので、返済期間は耐用年数の残りいっぱいまででした。

 例えば、鉄筋造のマンションの場合、住宅の法定耐用年数は34年ですが、20年経過していると残り14年です。この期間での返済期間でしか借入ができなかったのです。

 当然返済期間が短いため、返済額が増えます。利息を加えると8%くらいキャッシュフローを必要とします。家賃収入利回りがグロスで10%あったとしても、固定資産税、修繕費等の経費を支払うと、キャッシュフローは0以下となります。

  これを30億もやっていてはたまりません。今年の確定申告の第3期分の所得税復興税は1,600万円でした。これを信用金庫に頼んで1年返済で借り入れして支払っているようでは、私が税理士でありながら最悪の場合「黒字倒産」「自転車操業」に陥る可能性が見えてきました。1ヵ月2,500万円も返済していましたから。

  1回でも税金や銀行の返済の支払が滞ってからでは取り返しがつかないことになります。二度と借入ができなくなるのです。私は顧問先がそうなってしまった方をたくさん知っていますから、こうした場合の打開策は、不動産物件を売却して資金を作って返済を軽くすることが一般的です。でも私は欲張りなので、気に入った物件はそのまま保有賃貸しながらキャッシュフローを大幅に改善する方法がないかと考えてきました。

  今年になって私は一計を案じました。そして結論に達しました。これは返済期間を長くしてもらえて、私が作る会社に融資をしてもらえる銀行さえあれば可能になります。欲をいえば、手数料も安くて金利もそこそこであれば願ったりです。

  私が2年前に埼玉から東京に出てきたことが幸いしました。願いをかなえてもらえる銀行が見つかったのです。スキームは次のようなものです。

   ① 私が保有する3025棟の物件のうち、今年の1月で所有期間が5年超の物件を選別する。

      1510棟が該当しました。長期譲渡所得で20.42%の低税率になる。

   ② 銀行の支店長、担当者と綿密な打ち合わせをする。

     ③ 不動産鑑定士に簡単な「意見書」を作成してもらう。

      ポイントは、時価の一番高いところの金額、経済的耐用年数を長くしてもらうことです。

      ちなみに、時価は22億円(購入金額15億円)耐用年数はRCで70年ですから、残りの返済期間は30年から40年と、

      ものすごく長くなります。

   11社の合同会社を設立する。資本は10万円で、私が代表で子供を役員と株主にすることで“相続対策”であることを

         強調する。

          11社にするのは、会社の税率も利益が400万以下21%、800万以下25%、800万超は35%ですから、一番安い税率

             を狙ってのことです。均等割17万、10社で70万毎年払っても十分価値があります。会社の名前は物件名+とりやま

             合同会社で決まりです。息子に事業系のビル、マンションを6棟、娘にはアパート、マンション系を4棟です。

     ⑤ 個人が売主、会社が買主の売買契約書を10通作成する。

          消費税還付を狙い、居住用物件は「金の売買を繰り返す方法」に合うように家賃発生を遅らせて課税売上を先行させ

              る。収入印紙節税の為、原本は1通にする。

     ⑥ 銀行に10社の通帳を作る。

           この銀行は信用金庫なので、出資金を支払います。配当は1年で4%といいますから悪くありません。

     ⑦ 忘れてはいけないのが、既存の借入先銀行にも伝えておき、チャンスを与えることです。

              結局5行のうち対応できたのが地銀1行でした。この地銀の融資条件は、時価の満額、返済期間RCで30年、金利

              0.9%と最強でした。3物件をこの地銀に委ねました。

              ちなみに、7物件を託した信金の条件は、融資金額は時価の81%、返済期間RCで40年、金利1.4%です。

 

 私の場合、運転資金も物件を共同担保に出して、1億円くらい借入していたので、これも一緒に借り替える必要がありました。こちらも一本化して10年返済にしてもらいました。キャッシュフローは1ヵ月600万円、年間7,200万円、大改善です。税金を入れると、年間9,000万円は改善されます。

 本当にこんなことができるかと心配していましたが、両行ともOKがとれました。木曜日、金曜日は私にとってまさに関ヶ原の戦い、手が痛くなるほど住所と名前を書きました。良いスタッフに恵まれ、銀行と協力し乗り切りました。

 手元に約10億円残りました。約2億円は譲渡所得税を来年420日頃に払わないといけないので、地銀に3ヵ月定期をしてあげました。預金担保が約15千万円ありますから、動かせるお金は65千万円、信金に3億円定期をしてあげました。もちろん、支店と担当者は大喜びです。

 私は課税事業者なので、来年4月に消費税を6,500万円くらい納税しますが、10社で消費税還付をとり戻しますから、もらってから支払うということになります。

 

<今後の目標>

  ① 残り15億円分10棟も毎年長期譲渡になり次第、設立した会社に売却することにより、絶えずキャッシュフローを良くする。

   ② 個人の不動産が減って、現金預金が増える ⇒ 多額の相続税がかかる

        相続税対策の為に新たに賃貸不動産を取得する。

        物件は、都心の徒歩5分以内の良い物件に限定する

                    ⇒ 時価と路線価に大きな開きがあるので大幅な相続税対策になる。

        利回りが6%以上のものにする ⇒ 返済期間を長くできるので、単体でキャッシュフローが出る

           ビルが多い 消費税還付がやりやすい

    50億円を個人でじっくりと購入する。

        投資方針:買い付け証明書で書く金額はグロス利回り67%を目指し、妥協をしない。

          :イギリスのEU離脱問題、中国ショック、トランプ大統領でリーマンショック超えの経済恐慌発生

            ⇒ 不動産大幅下落

            ⇒ 不動産購入の大チャンスを逃さない為

                   ・現金を保有する。

                   ・銀行づきあいを良くしておく

                   ・不動産業者づきあいを良くしておく

 

 これにより、当面の目標は、個人が50億円、法人で50億円、合計100億円、家賃収入毎年8億円でキャッシュフロー潤沢という夢のような状況を目指します。近いうちの豪華客船による世界一周旅行も実現できそうです。

 但し、勿論税理士業をしっかりとこなし、事業承継もきちんと行っていくことが前提になります。そして、困っている個人、会社に救済の手を差し伸べる基金を作ることで、地域と日本、そして世界に少しでも役に立てることが、私の最終的な目標です。