不動産専門税理士の得するよもやま話 No.12 ~税理士・行政書士・宅地建物取引士~

<残業代要求>

 

 2人目は、残業時間分の支払いを求めるものでした。この職員は50代後半で当事務所に入社し、1年半位在職していたのですが、この期間内、仕事に対して不真面目で顧問先の評判が悪く、事務所内でパワハラ発言と言動が粗暴なので、辞めてもらうことにしたのですが、辞める事で揉めて、残業代の請求をしてきたものです。

 当事務所では年俸制を採用しているので残業代・休日出勤手当分は労使の合意で給料に込みという認識であったのですが、労働基準法では残業・休日出勤は割増しをつけて支払わなければならないと書かれているようです。

 

 私がつっぱねると、彼は開き直りユニオン(労働組合)を連れてきて、団体交渉をすることになりました。

労働組合が言うには、何しろ、労働基準法は強行法規なので団体交渉を拒否すると懲役まで科せられることがあると言うのです。別に拒否する必要はないので団体交渉をすることになりましたが、私は社会保険労務士に相談し、同席してもらえるように依頼したのですが、労働組合が出てくると社会保険労務士ではどうしようもないと逃げ腰なのです。何でも労働組合が当事者になるらしく、代理人になれるのは弁護士ぐらいのものらしいのです。団体交渉といっても経営者側は当時私1人で労働組合と相手側が5人では、私の方が劣勢です。彼は定年までの期間約5年分の給料を出せとまで言い始めました。1500万にもなります。さすがにこれは労働組合で無理があるということで、残業代だけに絞られました。彼はタイムカードのコピーを毎月内緒で取っていたので証拠があります。私から言わせてもらえば、コピー代も払わずに昼間さぼって夜に残業に見せかけて私の手間をかけさせて、こちらが残業代を請求したいくらいだと言ったのですが取り合って貰えず、相手が500万円の残業代というところ、200万円で手を打ちました。

 

 

この1件で学んだことは次の2点です。

    採用時に退職理由が会社都合の場合が多い時は、本人に何らかの理由があることが多い。

 

    採用時に基本給と残業・休日出勤手当相当金と分けて毎月給料明細にも分けて記入して渡しておけば、残業・休日出勤手当分を呑み込めることになる。又は賞与を支給するときに残業・休日出勤手当相当金として支給する。